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  日本薬剤師連盟脱退に至る経緯について
   
平成23年4月7日
 
   
神奈川県薬剤師連盟
 
    会長 田中英昭  
       
 

本年3月31日をもって神奈川県薬剤師連盟は遺憾ながら日本薬剤師連盟を脱退いたしました。東北地方太平洋沖地震後の、このような時期に甚だ恐縮でありますが、日本薬剤師連盟の評議員会が延期となりましたので、書面を持ちまして、この旨日本薬剤師連盟に通知させていただきました。
平成20年度まで、本連盟は日本薬剤師連盟からの賦課請求を全額支払ってまいりました。この間、さらに予想された本連盟の財政の逼迫につきましても、会員の増強を図る一方、役員報酬、事務所経費をはじめ不断の見直しを図りながら運営を続けてまいりました。
しかしながら、財政再建中の平成21年度に本連盟の資産は底を尽き、日本薬剤師連盟に対して請求された金額のすべてを支払えない状況になりました。これについては、日本薬剤師連盟や神奈川県薬剤師連盟評議員会にて説明申し上げてきたところでございますが、財政的に立ち行かない最大の理由は、日本薬剤師連盟から会費として賦課される金額の根拠にあります。
これまで会費賦課の算定根拠は、厚生労働省の認可している薬局数を母数としています(以下、薬局数賦課方式)。近年、神奈川県内の薬局数は急速な増加を続け3400軒を超えるまでになりましたが、多くはチェーン調剤薬局、チェーンドラッグストアであり、それらの薬局開設者の約半数が本連盟に入会いただけない現状があります。そのため日本薬剤師連盟が神奈川県薬剤師連盟に会費として賦課している金額(平成22年3月請求で概算3450万円)は、実際に支部、あるいは直会員から納められている会費収入総額、概算3794万円(平成22年度経過)から本連盟の最低限の活動資金(地域薬連活動の支援・職員の人件費・事務所経費など)1377万円を差し引いた最大支払能力2417万円を大幅に上回る金額となっています。もちろんこれでは、予定される統一地方選挙は、全く活動ができません。
平成22年春、本連盟・田中英昭会長は、日本薬剤師連盟・児玉孝会長に対して、再度この窮状をご説明し、合理性を欠いた賦課方式を速やかに改善されるよう申し入れを行いました。しかし、この時点では同年7月に参議院選挙をひかえているため、直ちに対応することが困難との理由で、参議院選挙後に会費賦課方法についての見直しをしていただけるとのお約束をいただきました。
これに基づき平成22年9月に開催された日本薬剤師連盟評議員会において、会費賦課方式について見直しをはかるために特別検討委員会設置が承認され、各ブロックから選出した代表による「会費賦課検討特別委員会」が立ち上がりました。本連盟からは、関東ブロック代表として加藤久幸(本連盟副会長)が選出され副委員長の職責を果たし平成23年1月末に児玉会長に答申書を提出いたしました。
この答申書については、神奈川県薬剤師連盟の常任総務会、総務会において概要が報告されたところでございます。一番のポイントは、これまでの薬局数賦課方式を、「会費を支払った者の数」を基準をとする方式(以下、会員数賦課方式)へ改める、としたところでございます。(答申書参照。)
ところが、平成23年3月2日に開催された日本薬剤師連盟総務会では、会員数賦課方式とは異なる新たな会費賦課方式が承認されました。
これについて日薬連は、答申を踏まえ会費賦課方式を修正したと説明していますが、実際には委員会において議論された会員の定義(本会の目的に賛同した者)を無視し、A会員は厚生労働省の登録薬局数をベースのまま、新たに賦課されるB会員にいたっては厚生労働省の登録薬剤師数をベースにした変更であって、答申の内容と異なることは明らかです。
新たな賦課方式も、日本薬剤師連盟の収入基準5億円とした上部団体の総予算ありきの発想であり、実際に会費を徴収している地域薬剤師連盟の皆様のご苦労から省みて本末転倒ではないのかと当連盟は考えます。加えて新しい公益法人制度の理念、職能団体と政治団体の峻別、薬剤師組織の枠組みに重大な問題を生じることは明らかです。
本連盟におきまして、この新たな賦課方式にしても予定される賦課額は支払い能力をはるかに超えており、さらに平成24年度からの運用であることから、この一年で財政状況はさらに逼迫することに明らかになりました。また、単年度で収支が赤字の状況において、現行方式では、過年度分の会費を請求されております。しかし、このままでは累積が大きくなるばかりで、未来永劫お支払いできる可能性はありません。法律上も政治団体間の金銭のやり取りは「寄付」であり、過年度分についての債務は存在しません。
本連盟といたしましては、日本薬剤師連盟・児玉会長とのお約束、および会費賦課検討特別委員会の答申が活かされなかったことに驚きを禁じ得ません。神奈川県だけでなく都市部を抱える薬剤師連盟は、実態とかい離した会費賦課方式を容認できないのではないかと危惧するところでございます。
平成23年3月16日に開催予定でありました日本薬剤師連盟評議員会の資料において新年度予算案及び新たな会費賦課方式が承認予定であることをあらためて確認いたしましたので、本連盟としては、引き続き会費をお支払いすることは不可能と判断するに至りました。今後も毎年1000万円以上の未払い金を計上することについても、本連盟の会員に説明をすることができません。
以上の経緯から本年3月31日をもって神奈川県薬剤師連盟は、日本薬剤師連盟を脱退するとの結論に至ったことをご報告させていただきます。
今後は、本会財政の再建を最優先し組織運営を確立した上で、改めて他団体と適切な関係を検討してゆく所存です。
日本の薬剤師組織が新しい公益を担い、国民の健康と幸福に寄与できることを衷心より願っております。

 

 
 
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